KT Tunstall ケイティー・タンストール 『Drastic Fantastic』(2007年)
『Drastic Fantastic』(2007年)
スコットランド出身のシンガー・ソングライター、KT Tunstall (ケイティー・タンストール)の前作『Eye to the Telescope』より約3年振りとなる2ndアルバム。
デビュー作『Eye to the Telescope』収録の「Suddenly I See」が。映画『プラダを着た悪魔』のオープニング曲に使われたり、ループペダルを使い1人で多重演奏する「 Black Horse & The Cherry Tree」などで一躍有名になったKT Tunstall(KT タンストール)。
前述の1stアルバム『Eye to the Telescope』は、2006年のイギリスの音楽賞BRIT AWARDSでBest British Female Solo Artistを受賞し、アメリカのグラミー賞でも、イギリス人ながら最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンスにノミネートされ、アルバムは世界で350万枚以上のセールスを記録した。
ソロ・デビュー前は、Oi Va Voi(オイ・ヴァ・ヴォイ)というワールド・ミュージック系のバンドのアルバム『Laughter Through Tears』(2003年)にゲスト・ヴォーカルとして参加していて、イギリスではそれ以前から注目を集めていたケイティ。
このバンドはツアーやフェスでのライヴを大成功させたうえに、アルバムはBBCワールド・ミュージック・アワードを獲得。
東欧や中近東・イスラエルの音楽などをミックスしたテイストの楽曲に、ケイティが柔和な美声を吹き込みとても聴きやすいアルバムに仕上げている。
日本では、YUKIがアルバム『Wave』(2006年)でKTの曲に歌詞をつけた楽曲が2曲(「バースディ」「ユメミテイタイ」)収録されていて、二千花(にちか)もデビュー曲のカップリングでKTの「Barbie」(2007年)をカヴァーしている。
アルバム・タイトルは、機内でいつものように日記を書いている時に閃いたという。
「ちょうど機内で映画『シン・シティ』を観て、原作者のフランク・ミラーの作画が実写で動く様子を観ていたら、自分の人生はマンガみたいだと思ったの。クラブで酔っぱらったりしたら、そのことがシンガーとしてよりも有名になってしまうとか、ちょっとしたことで悲劇になったり、自分のやることや自分が決めていくことによって人生は変わっていくんだなと思って。エルトン・ジョンやボニー・レイットを見ていると、彼らはマンガのキャラクターのようだし、そういう自分もキャラクターのように思えるし(笑)、だからこのタイトルはマンガの良いタイトルになるだろうなと思って付けたのよ」by KT
※一部国内盤ライナーノーツ参照
『Drastic Fantastic / ドラスティック・ファンタスティック』
01. Little Favours / リトル・フェイヴァーズ
02. If Only / イフ・オンリー
03. White Bird / ホワイト・バード
04. Funny Man / ファニーマン
05. Hold On / ホールド・オン
06. Hopeless / ホープレス
07. I Don't Want You Now / アイ・ドント・ワント・ユー・ナウ
08. Saving My Face / セイビング・マイ・フェイス
09. Beauty Of Uncertainty / ビューティー・オブ・アンサーテンティー
10. Someday Soon / サムデイ・スーン
11. Paper Aeroplane / ペーパー・エアロプレーン
bonus track
12. Suddenly I See (Live) / サドゥンリー・アイ・シー(Live)
「Little Favours」
4thシングル。
アメリカの高校に通っている時に授業で行われたコンクール用に書いた作品が元になっていて、それに別の曲をミックスさせながら手を加えていった曲とのこと。
「If Only」
3rdシングル
ミディアム・テンポのロック・ナンバー。
「White Bird」
南イングランドのドーセットにある小屋を借りてリラックスしながらデモを作ったという1曲。
「アルバムの演奏は、その時の私の演奏をそのまま再現しているの。妖精のような存在であるバッキング・コーラスは歌を翻訳するような感じで入れたの。ちょっとマジカルな感じでね」by KT
「Funnyman」
特徴的なメロディが耳に残る1曲。
「Hold On」
1stシングル。
昔の彼の事を歌った曲とのこと。
「いつだって苦しい時期を乗り越えると、自己嫌悪に陥ったことよりも、自分を前進させてくれたことだけを憶えておく方が自信につながるわ。私はいつも悪い状況にあっても一筋の光を見出すタイプなの。だからこの曲では、”私のせいにしないで、自分の行動を見直したら?”って歌っているの」by KT
ロボットダンスからのハンドウェーブ?など、ケイティのダンスも注目?なMVとなっています(*^^*)
「Hopeless」
「思い入れのない歌詞を書いてしまったらミュージシャンとしてダメだと思う。だから私は全ての歌詞に思い入れがある」というKTが今作で一番思い入れがあるという曲。
「”Hopeless(ホープレス)”という言葉は”救いようのない”という悪い意味で使われているけど、私は敢えて悪い意味の言葉を良い意味で使ったの。違う風に言葉を用いるのが好きだから。ここでは”自分は音楽をやるしかない” ”それに代わるものがない” ”それに駆られてしまっている”という意味で歌っているわ」by KT
「I Don't Want You Now」
KTが”フォーク・パンク”と話すライヴ映えする1曲。
「Saving My Face」
2ndシングル。
前作のレコーディング中に作っていた曲だが、前作の内容に合わないため、今作に収録された。
60歳の女性が18歳に見えるように整形手術をしたというニュースを、ディスカバリー・チャンネルで観て書いた1曲。
「Beauty Of Uncertainty」
カナダの作家のブライアン・ヘンドリクスとメールをやりとりしながらシナリオを共作していて、その内容を基に書いたという1曲で、実際にこの曲を歌っているシーンも脚本に出てくるそう。
「Someday Soon」
友人とその息子に書いたという1曲。
「Paper Aeroplane」
17、18歳位の時に、初めて納得のいける曲を書き上げたというのがこの曲。
「Suddenly I See(Live)」
ボーナス・トラック
ハスキーでソウルフルな歌声が魅力的なKT タンストール。
ギター・ロックを主体にしながら、サウンドも個性的なケイティ・ワールドに引き込まれる1枚(*^^*)
未聴の方は是非チェックしてみて下さい(^^♪
【番外編】
ループ・ペダルでの演奏をしているケイティのLive映像です。
「Black Horse & Cherry Tree」
ループペダルとは、見ての通り録音と再生を繰り返し、音を重ねる事が出来る機材。
演奏者が一人しか居なくても、色々な楽器・コーラス・音を出しながら1人きりで多重演奏できてしまうというスグレモノ(!?)です。
ケイティは当時このループペダルでの演奏でも注目を集めました。
最近ではEd Sheeran(エド・シーラン)もこれで演奏しています。
エド・シーランの影響で海外では勿論、日本でもループペダルで演奏するアーティストも増えてきたようです。
上の動画は2004年の時のものなので、ケイティは、エド・シーランが広める前から(2000年代前半から?)既にループペダルでの演奏をしていました!