Amiel アミエル 『These Tie』(2005年)
『These Ties』(2005年)
オーストラリアのシンガーソングライター、Amiel(アミエル)の、前作『Audio Out』より2年振りとなる2ndアルバム。
アミエルは2003年の大晦日に、気持ちの上で岐路に立たされる程の大失恋を経験し、住居のあったオーストラリアのメルボルンから北へあてもなく車を走らせ逃避行。
何も考えられないままハンドルを握りしめ、新しい年の始まりを迎えながら辿り着いたのは、ニュー・サウス・ウェールズのムランビンビイ近くの熱帯雨林地域。
そこで、渓谷沿いに見つけた小屋で生活を始めた。
今作『These Ties』のアルバムの曲はその森林での生活の中で書かれたそうです。
今作でアミエルが音楽のパートナーに選んだのは、80年代にUKのニュー・ウェーヴ・シーンで活躍したオルタード・イメージの後期のドラム奏者だったスティーヴン・リローニ。
マネージャーを通して彼に会った時に、アミエルが大好きなエリオット・スミス(オルタナティヴ世代を代表するシンガーソングライター。2003年10月没)の曲がステレオから流れていて、しかもその曲でスティーヴンがドラムスを叩いていたことを知り、その後の会話で、デ・ラ・ソウル(ニューヨーク出身、オルタナティヴ・ラップ界で革新的な活動を続ける3人組)の名前が彼の口から出てきた事が決定打になったという。
なぜなら、アミエルがアルバムを創作する上で必ず参考にするアルバム2枚が、エリオット・スミスとデ・ラ・ソウルっだったから。
そして出会ったその日に「Following the Sun」を一緒に作り、その後2人で計10曲も完成させた。
アミエルが一人で書いた曲は「These Ties」「Be Your Girl」「Under Your Spell」の3曲。
そして2004年の暮れに、スティーヴンとロンドンのスタジオに入り、たった2か月で『These Ties』のレコーディングを進めた。
様々な音を取り入れ、サウンドを追求した前作『Audio Out』、そして今作では音楽センスの近いスティーヴンと音楽性を深める事に没頭。
アルバム・タイトルになった『These Ties』について....
「この曲は、他の曲と一味違っていて、珍しい音の融合で、それは私がどんなアーティストなのかというのをある意味表現していると言えるわ。歌詞の面でも”these ties”という言葉は結び目、つまり”つながり”を意味していて、アルバムの言わんとしている事を一番網羅している曲かも。私が書く曲は”つながり”ということが、いつもキーワードになっているのね。互いにお互いを必要としていることだったり、自分の愛し方だったり、周りをどう思っているかとか、ね」by Amiel
※国内盤ライナーノーツを参考に記載しています。
※YouTubeに上がっていない曲が多いので、音源は2曲のみご紹介します。
「Expectations」
アミエル曰く、学んだ教訓についての曲。ハッピーでちょっとした悲しみも見え隠れするけど、基本はポジティヴな曲、との事。
「Be Your Girl」
ロックテイストも少し入った1曲。
アミエル曰く、自分の独立を切望している曲との事。
「Moving On」
アミエル曰く、恋愛に踏ん切りをつけ、先に進もうという気持ちまでこぎつけるまでの迷いや、手放すのは悲しい事だったけど、必然でもあったという事を歌った曲。
「Round and Round」
サビ部分が頭にずっと回っております。”Round and Round”だけに....(^^;)
アミエル曰く、自分の感情や思いを互いに伝えれば分かち合える、そうすれば人間関係も広がるということにも気が付いていくという曲。
「On The Outside」
アミエル曰く、友情について歌った曲。
助けを求めている誰かに手を差し伸べてあげる曲、との事。
「Under Your Spell」
アミエル曰く、ラブストーリー仕立てで書かれているけど、実際は私の本当の初恋の相手、心からの友・音楽を実在する恋人に例えて歌った曲。
「These Tie」
アミエル曰く、結び目を壊して、また新しいのを作り、いつ踏ん切りをつけて先に進むか断ち切るか、その強さを持つ事の大切さを歌ったもの。たえそれが難しくても、結局自分にとっていい結果につながる事を表現した曲。
「Trouble」
自分を大事にしない友達を見詰めている曲。
友達を想うが故に、お願いだから気が付いて、目覚めて、と訴えかけている内容。
「Storm Blew Over」
アミエル曰く、振り返った時、辛かった経験を思い出して、その先に希望を見出している。
だから”嵐が去った”というタイトルなのだそう。
「Stars」
アミエル曰く、愛についての曲。
完全に恋している瞬間、何時間でも何週間でもなにもせず一緒に居られる、何をしても楽しくてうっとりしてしまうような美しい時間を歌っている。
「Following the Sun」
アミエル曰く、思い出について歌った曲だけど、他の曲とくらべるとちょっと抽象的。
夏の日、海水などをキーワードに、この思い出にいつまでも浸っていたいという気持ちを表現している。
「Easier to Lie」
恋愛関係の中であり得る裏切りについて歌った曲。
誰か知っている人が裏切られている、それについて何も出来ないけど、それを敢えて声にした曲。
※各曲については、国内盤ライナーノーツのアミエルの曲解説を一部参考に記載しています。
サウンド的に色々な挑戦をしてとても奇抜な音だった前作とは違い、どちらかというとシンプルなサウンドになって、メロディーも浮遊感のあるポップ・ソング。
初期のThe Cardigansっぽいサウンドや曲調のような曲もあり、前作よりも耳に馴染む感じです。
前作で全面的に出ていたエレクトロポップ感も今作では控えめになり、心地良いアコースティック・ポップな作品に仕上がっています。
それにしても国内盤の1stと2ndのジャケ写、ほぼ同じアングルで同じ表情(^^;)
2ndはちょっとだけ引きで撮られているだけ...。
可愛いだけじゃない、等身大のリアルを歌ったアルバムになっています!
是非聴いてみて下さい!
『These Tie』